レポート第二弾

この分野は、あまり得意ではないけど、与えられたテーマ。交渉を視点に書いてみました。
「TPP問題」について、、、、

 TPP問題は、まさしく国内外のこの問題に絡むもの同士の利益、権利、権力のぶつかり合に他ならない。そもそもTPP問題がなぜ急を要する問題になっているのかである。2009年オバマ大統領が突然言い出したことに端を発する。成長著しいアジアマーケットがアメリカの知らないところで成長するのを良しとするわけがない。日本としては、当たり前であるがアメリカに追い立てられる格好になるわけである。ここについては、交渉の余地があったのかは疑問であるが、時間的な問題で言うなら2013年の安倍政権まで何をやってきたのか?ということだ。これは民主党政権が在任期間中に内外に対し、しっかりとした交渉をしていれば、日本の主張を少しでも反映させた交渉参加への是非論となっていたのではないだろうか?この点はこれぐらいとして、中身ある問題に変えるとする。
国内の利益争いに目を向けると、焦点になるのが「JA Vs 経団連」この問題に関しては、農業側のある程度の自立性が求められると思う。経団連が賛成するのは皆がわかりきっていることだ。農水省が交渉のカードに日本の自給率が40%から14%なるとの試算をしているが、この算出方法に問題があると思わざるを得ない。これでは交渉に勝てない。また、今まで、蒟蒻芋1705%・米778%・バター360%・小麦252%、これだけの関税で守られていたということを、どう交渉に持ってくるかである。守られていたものいわばはしごを外されるごとくというイメージを見せない交渉が必要だ。もし関税撤廃となっても今と変わらぬ売り上げを確保すればいいことだ。但しそれには時代に残されてきた1次産業いや産業構造の在り方の問題に触れるべきではないか?法律で守られているなら参加の是非よりもその後の対応能力にフォーカスして交渉を進めてはどうだろうか?1次産業には問題が山積している、例えば時代に乗ってインターネットの活用といったところで使える人間は限定的だ。時間稼ぎかもしれないが、その時間の中に農業の将来が必ず見出せるはずである。また、仮に撤廃の道をたどる際には安全基準の問題が出てくるだろう。アメリカは間違いなく今後も日本に緩和を求めてくるに違いない。さすれば、日本は基準の緩和ではなく、基準の強化を提示するべきである。安全の確保はどの分野でも最重要課題である。食の安全が揺るがないよう農業側が、具体的水準また検疫ルールのイニシアティブを握る交渉に持ち込めばよいのではないか。この問題に最後に付け足すとしたら食料を海外に依存させていいものかどうかということだ。しかし、私は、日本人として日本の主食である米をはじめ様々な国内産のものが、海外の安価なものにすべてが押されるということはないと信じている。論理的根拠は全くないが、日本人のもつ大切なものまで失われるとは思えない。帰るべきところに必ず帰る。
さて、国外の交渉に触れるとしましょう。そもそも関税撤廃自由貿易というものはWIN-WINが成り立つ仕組みであり、そうでなければ誰も参加しない。自由貿易はマイナスが生じた人にお金を配ってでもプラスにする。プラス部分をどう再配分するのが政治だ。政治は国内の誰もが損をしない状況を作るのに、最善を尽くすのが仕事であると思う。現在の状況は前述した、農業が最後は黙るしかないという状況ではあるが。反対派がマイナス面を強調するためにISD条項(投資家対国家間の紛争解決条項)を持ち出すケースがある。しかし、簡単に言えばISDの最終解決方法は金銭であり国の制度や法律に対し命令などを出せるものではない。何か起きた時のお金の交渉であり、論点がぶれるような気がする。そもそも、それぞれの国ではそれぞれの弱点があるはずである。大国アメリカでも例外ではない。アメリカが嫌がっているのはアジア諸国がアメリカの知らないところで力を持つこと。絶対権力の立場を維持したいことが今回の参加是非の始まりとするならば、日本はASEANプラスや日中韓FTA等を持ち出すのも手ではないだろうか。もちろん、竹島問題、尖閣諸島等の問題があることは承知の上である。韓国は自国の農業は守る政策を取りつつTPPに前向きになっている。それはアメリカと自由貿易協定を結んだ際にコメは除外している。日本も端的に言えばコメ除外の交渉を毅然として行ってはいかがなものだろう。そうはいっても近隣諸国との諸問題を抱えアメリカの後ろ盾がないと立ち回れない日本の弱さはどうしようもないが、、、話を戻すとASEANプラスはアメリカの代わりに中国が入っている。両方に絡んでいるのは日本だけである。世界トップ3の経済大国、見方を変えれば一番都合のいいポジションにいるのは日本である。日本の交渉能力次第では他2国を操れる可能性もあるのではないだろうか?優れた交渉を発揮でいれば、WIN-WINの関係を構築も可能だろうが、不利な条件を一方的にのまざるを得ない状況であるならば、拒否すればいい。不参加という交渉をすればいい。しかしこれは国益という点で本当にプラスになるのかは疑問である。国益とは関係を含めた点である。参加するよりもさらに高度な交渉が求められるだろう。とすれば時間切れによる不参加。安倍政権はこれもにらんでの動きととっていいと思う。いかにも日本っぽくていいのでは。皮肉はさておきTPP不参加となっても項目別にFTA交渉をすれば安全保障への影響も最小にすることは可能ではないだろうか?もちろんタイミング、交渉カード等先に述べたとおり高度な交渉が必要なのは言うまでもないが。
 面白いコラムがあった。「TPPの短所はその平坦性にある。金魚も鯉も魚雷も「同じ水槽」に入れようかとする平等理論に他ならない。失ってはならない、傷つけてはならない伝統や品位、安全性、清浄性はこの日本にもたくさんある。」まさしくその通りである。出遅れての交渉参加、枠組みが決まっての交渉参加、時間が足りない中での交渉は不利に働くことが多い。大局で判断を急ぐのではなく、1つ1つ交渉を重ね自国の利益のみにとらわれることなく国際社会において互いに何がWIN-WINの関係なのかを見つけ出し進めることが大事だと思う。こういった話に「たられば」はナンセンスなのは承知だがもし白洲次郎が交渉に携わっていたらどんな結果になるのかと思ってしまう。そんな人物が必ず現れる日本の未来に期待したい。
 参考文献 TPP亡国論   集英社新書
      砂糖と安全保障  講談社

 読み直している間に流れてきた「案山子」~さだまさし~ 忘れてはいけないものが必ずありますよね~

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