あなたは路面電車の運転士で、時速96Kmで走っている。
前方を見ると、5人の作業員がいる。
電車を止めようとするが、ブレーキがきかない。
このままでは全員が死ぬ。
ふと、右側へそれる退避線が目に入る。
そこにも作業員がいるが、1人だ。
電車を退避線へ向ければ1人の作業員は死ぬが、5人を助けられる。
どうすべきか?
「退避線に入れ! 1人の人を殺すのは悲劇だが、5人を殺すよりは
ましだ」
5人の命を救うには1人の犠牲が必要となる。
さて、もうひとつ別の話がある。
今度は、あなたは傍観者で、路線を見下ろす橋の上に立っている。
線路上を電車が走ってきた。
前方には作業員が5人いる。ここでもブレーキがきかない。
その時、隣に太った男がいるのに気づく。
あなたはその男を橋から突き落とし、疾走してくる電車の行く手を
はばむことが出来る。
その男は死ぬだろうが、5人の作業員は助かる。
太った男を突き落とすのは正しい行動か?
「5人を救うために1人を犠牲にする」が2つの事例で、違って見えるのは
なぜだろうか?」
(これからの「正義」の話をしよう)より
先日、以前の会社の上司江藤茂樹氏と飲んだ際の話題でした。
江藤部長は大変本を読む方で、私が本を読む事に影響を受けた一人です。
哲学の話ですので、会話は途絶えず語り合えました。
こんな時代だからこそ、サンデル(著者)のような著書が読まれるのかもしれません。
他にもたくさんの事例が議論されてます。非常に興味深い本です。