これからの企業は労働モチベーションを高める上で、クラウドの存在は無視できなく
なると思われます。そこで今回は私が20代後半に影響を受けた「X-Y理論」について
クラウドと絡めてご紹介したいと思います。
ここで話すモチベーションとは、内面的・精神的なものをケアするための見せかけのもの
ではない事を理解して下さい。
さて、クラウドの概念は説明する迄もありませんが、その登場により近い将来確実に企業は
労働条件を変えなければならなくなると思われます。
その根本には、全ての企業は経済の効率性を追求しなければいけないからです。
そこで、労働モチベーションの高め方については、アメリカの心理学者ダグラス・マクレガーの
「X-Y理論」を考察すると非常にわかりやすいと思いますので、簡単にご紹介します。
彼の言う
「X理論」とは、『人間は本来怠け者で、責任感がないので、強制しないと仕事をしない』
という性悪説的なものから来てます。労働力・生産性を向上させるためには、報酬と賞罰、
分かりやすく言うとアメとムチが必要という事です。従来の経営理論はX理論が主流である事は、
説明する迄もないと思います。しかし、X理論には欠点があります。それは、単純労働や肉体労働
以外の主体的な思考活動(試行錯誤・創意工夫)を必要とする知識労働(複雑な作業や思考を
必要とする創造的な仕事)に応用できないことです。
そこで、彼は従業員(労働者)の労働意欲を高め生産効率性を上昇させようとするX理論の短所と
限界を乗り越えようとするY理論を考案しました。
「Y理論」とは、『人間は本来、怠け者ではなく働き者であり、旺盛な知的好奇心と自己実現欲求を
持つので、やりがいのある職場環境(人間関係)と達成目標さえ与えられれば積極的に働く』という
性善説的な人間観を前提としています。人間は生まれながら何かを創造したいという欲求を持って
おり、報酬賞罰に縛られ、そういったものの行使により仕事を強いられると、反対に仕事に対する
やる気や興味を失って生産性(効率性)が停滞すると考えました。単純な肉体労働ではアメとムチの
X理論は有効である部分がありますが、自分の頭で考えて『問題解決・目標達成』を行っていく種類の
仕事では、人間の主体性を尊重するY理論が有効であると考えられます。
ものすごく簡単に説明しましたが、
彼のすごいところは、1900年代半ばにまさに今日を予測するがのごとく、未来の経営理論
(組織論・人事管理・企業運営)では、外部から強制的な命令を下して『統制による管理』を行うX理論
の有効性は大きく低下し、内発的な動機付けを重視して『目標による管理』を行うY理論の有効性が
段階的に上昇すると主張してます。2000年初頭にX理論に傾きかけた経営理論もクラウドの登場
により大きくY理論に変化せざるをえなくなるでしょう。
また、Y理論の長所が最大限に発揮されやすい産業分野は、『創意工夫・試行錯誤・頭脳労働・
計画管理』を日常的に必要とする分野であり、Y理論の適用が効率性を発揮する人材とは、
『承認欲求・自己実現欲求・知的好奇心・社会的責任感』がある程度強い人材です。
こういった事も、現代の産業分布または就職戦線において企業側・求職者側それぞれに求められている事
と一致ていて非常に興味深い点です。
主体的な責任感を持って仕事に取り組み、自分で自分のやるべき仕事の達成目標を設定して、その目標に
向けてコツコツと意欲的に努力する従業員の場合には、X理論に基づく『統制・強制・命令での管理』
は生産性を低下させるので、Y理論に基づく『目標・共感・仕事の内容での管理』を適用すべきである
とも解説しています。まさに、昔もそうですが現代に求められる理論といえると思います。
ここまで話して水を差すようですが、これらの話は、あくまで机上の理論であり、現実の経営・
人事評価等に結びつける事が、非常に難しいという事も理解しなければならないと思います。
なぜなら、管理する側・される側両方に課題があり、それをほとんどの企業の管理職者は認識を
誤っていると思わざるをえないからです。。
しかし、これからのクラウドに見る組織形態を下記に見れば「Y理論」が頷けると思います。
クラウド型組織では、フラットな関係であるため、権限のない中でリーダーシップを発揮する必要が
あり、ここで必要なのはディスカッション(議論)ではなく、ダイアローグ(対話)であり、
リアルタイムコミュニケーションが重要となるという事です。
先にふれた、管理する側の課題はまさしく新たな組織形態についていけるのかが最大の課題であると
なるのではないでしょうか?権限を行使することなく労働モチベーションを高める事は、机上で語る
ほど簡単ではないと思います。
権限を好み、議論を好む社会で生きてきた仕事人には非常に大変ですね。
また、上っ面の対話、対話に表裏を作ってきた”自分は出来る人間だ”と、どこかで思っている一昔前の
一部にみられる頑固職人的なタイプにも結構きつい時代かもしれませんね。
クラウドを認識すればするほど、労働モチベーションの在り方を考えてあげないと企業は従業員との
間に、何処か微妙な温度差が生まれてしまうのではないでしょうか?
時代に取り残されないように頑張りましょう。o(*⌒O⌒)bふぁいとっ!!
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